オッタンと犬

朝の散歩の時、リュック背負ったオッタンがオドオドと話し掛けてきた。
『この犬・・・ドイツで子供を噛み殺した犬でんなー。』と、ぷうかを指してのたまう。
近くで遊んでいた親子づれは、はっとしてこちらを見た。そして、さりげにどこかへ行ってしまった。
『はぁ・・・そうですか。元々、闘犬出身やから凶暴なんもおるでしょうね。』と、眉間にしわを寄せながら答えた。
オッタンは、さらにオドオドと近づいて来て、『噛みまっか？』と、私の顔を見ながら、手をぷうかに近づけて言った。
失礼なやっちゃ！恐かったら、どっか行け！と思いながら『たまに噛みますよ』と言ったら、慌てて、どっか行った。
けっ！噛む犬を公園で、離せへんわ！まぬけ！
そうなんです。うちの可愛いぷうかは、世間様からいろいろ誤解を受け易い犬種なんです。
闘犬出身という有難い触込みのせいで、犬同士がじゃれあってても、白い目でみられるし、本当はムチャクチャ気の弱いぷうかなのに・・・。
というより、私が気を弱くさせたような気もする。
飼う前に、いろいろ脅かされてたから、しっかりしつけな、と思い、まだ２ヶ月にもならない子犬に向かって、しょっちゅう仰向けに倒し、手で押さえつけ『ボスは私や！』と叩き込み、ちょっとでも噛もうものなら、手を口の中に突っ込み舌を掴んでひねくりまわした。
おかげで、借りてきた猫のような犬に育った。
と、回想する今日この頃の私。
オッタン！ものの言い方には気ぃつけよ！人聞きの悪い事を、大声で言うな！ボケーッ！